2000年4月22日(土)12:11

シュミット元首相とジスカール・デスタン元大統領がEU拡大の性急さを批判

トルコの加盟には「どんな優先権もない」  諸機構の崩壊を警告

ハンブルク(AP)

 ヘルムート・シュミット元ドイツ首相とヴァレリー・ジスカール・デスタン元フランス大統領は欧州連合の東方拡大における「看過しがたい性急さ」を批判した。「日曜版ヴェルト」紙への共同寄稿の中で二人は、高い優先権を持つのはポーランド、チェコ、ハンガリーの加盟のみという見解を示し、トルコの受け入れとそれにともなうコーカサス地域とイラン、イラクおよびシリアの国境へのEU拡大は「どんな優先権も」認められない、と主張した。

 二人の論者は「拡大の前にEUの諸機関を抜本的に改革することが必要である」と要求。「EUはすでに今の時点で良好に機能しているとは言えず、拡大後に機能が完全に停止するおそれがある」と述べた。

 シュミット元首相とジスカール・デスタン元大統領はまた、まだ堅固な基盤を築いていない東ヨーロッパの国々が、EU現加盟国の高度に発展した企業との競争にさらされる危険を指摘し、「数百万もの労働者を母国の5倍から10倍の賃金が得られる西欧へと招き、永住の誘惑にさらすのも賢明とは言えない」と述べた。

 「唯一現実的なのは、加盟への政治的意志を持ち、その経済的・社会的条件もほぼ同等のEU諸国を強制的に統合へと導くことである。これらの国々はすべてアメリカ合衆国を越える人口を抱えるユーロ通貨圏に属すのである。「英国が半分内側、半分外側の垣根の上に座ったまま離れようとしないのならば、進歩はとりわけフランスとドイツの密接な協力にかかってくるだろう」と語った。

原題: Schmidt und Giscard kritisieren Eile bei EU-Erweiterung
   Tuerkei-Beitritt hat "ueberhaupt keine Prioritaet" - Warnung vor Zusammenbruch der Institutionen